三角絞めでもてなして

「三角絞めでつかまえて」(http://ameblo.jp/kamiyamaz/)の避難所的なブログです。

私が、生きる肌(ネタバレ)

私が、生きる肌※画像を追加しました(6/29)
※一部文章を追加しました(11/19)


私が、生きる肌

原題:LA PIEL QUE HABITO/THE SKIN I LIVE IN
2011/スペイン 上映時間120分
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
脚本:アグスティン・アルモドバル
原作:ティエリ・ジョンケ
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
美術:アンチョン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ブランカ・スアレス、ロベルト・アラモ、ヤン・コルネット
(あらすじ)
最愛の妻を亡くして以来、完ぺきな肌の開発研究に打ち込む天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)。あらゆるモラルを打ち捨ててしまった彼は、ある人物を監禁して禁断の実験に取り掛かることに。それは開発中の人工皮膚を全身にくまなく移植して、被験者を亡き妻へと作り変えてしまうことだった。着々と妻の代役を創造させていくロベルだったが、思いも寄らぬ事態が起こってしまう。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




80点


「私が、生きる肌」ネタバレを読まないで観た方が絶対良いので、気になる人は劇場に行けば良いような気がしないでもないけど、エグい話なので気をつけて!
※今回の記事は、原作小説のネタバレもしているので、知りたくない人は読まないで!
※今回の記事は、ダラダラとしてて読みにくい上に、残念かつ下品な下ネタが羅列しているので、そういう文章が苦手な人は読まない方が良いです。
※今回の記事の中で、「原作小説を読んだ→まだ『ツァラトゥストラ』を読み終わってないのに他の本を読んでしまっている!?」点については、あまり気にしないで!


ハッキリ言って、「他の女性を亡き妻ソックリに全身整形しちゃうマッド外科医の話なんでしょ? ┐(´ー`)┌ アリガチ」と思ってて、まったく観る予定はなかったんですよ。ただ、なんかネットで「狂ってる! Σ(゚д゚)」なんて評判が流れてたりするから、「まったく、どんだけ耐性がないんですカネ~ (`∀´) ヤレヤレ」と舐めた状態で「未来を生きる君たちへ」以来のシネマライズに行ってみたら、僕もモロに「く、狂ってる! Σ(゚д゚;)」とビックリしちゃいました。


こんな大きめのポスターが貼ってありましたよ。
大きめのポスターとか


最初はね、外科医ロベルがベラという女性(エレナ・アヤナ)を監禁しながら、“人工皮膚を使って亡き妻に似せようとしてる”話っぽいんですね。で、物語が進むと、時系列が過去に遡ったりしまして。「奧さんはロベルの異父兄弟で極悪人のセカ(ロベルト・アラモ)と駆け落ちしようとしたところで事故を起こして大ヤケドを負い、何とか助かったものの、自分の醜い姿に衝撃を受けて、投身自殺しちゃった」ことが明らかになるんです(ロベルの人工皮膚研究はこの事件を機に始まったと推測)。


ロベルの奧さんに似ているというベラ。僕的には、たまたま事故とかに遭って保護された女性かと思ってたんですが…。
ロベルとベラ


さらに、ロベルには母親の自殺を目の当たりにしたことで精神を病んでしまった一人娘のノルマ(ブランカ・スアレス)がいたんですが、ある日のパーティで、調子に乗った若僧ビセンテ(ヤン・コルネット)にレイプされる→後に投身自殺してしまいまして。復讐に燃えたロベルは、ビセンテを拉致して監禁すると、なんと膣形成(a.k.a.性転換)手術をするというね…。要は、映画冒頭から登場していた女性ベラはビセンテという男性の変わり果てた姿だったワケです。この事実が明らかになった時、ごめんなさい、近年稀にみるほどドン引きしましたよ… ('A`)


「街を出たい」が口癖の若僧ビセンテ。パーティでロベルの娘ノルマと出会ったのが運の尽き。
酷い目に遭うビセンテ

イイ雰囲気だと思ったので、セックスしようとしたら相手が拒否。レイプには至らなかったものの、ノルマは心の傷を負い、自殺してしまう。
レイプ未遂!

怒れる父はビセンテを拉致! 監禁した目的は…。
拉致られました

なんと性転換手術! さらに全身を新開発した人工皮膚にして、完全な別人=ベラが誕生するんですね。
改造手術

しかも、亡き妻に似せて整形したから、ウッカリ欲情までしちゃうロベル。先輩、さすがについていけないッス… (´ω`;) ヌゥ...
そしてベッドイン


一応、オチを書いておくと、年月が経つにつれ、ロベルはベラに思いっきり亡き妻を投影するようになってきて、娘を失った恨み云々はどこ吹く風状態で、ラブラブに。ベラも「ずっとアナタと一緒にいるわ 川´∀`) スキヨ」みたいなムードになった…かと思いきや! 隙を突いてロベルとメイドのマリリア(マリサ・パレデス/実はロベルの母親)を射殺。ベラは何とか実家のブティックに戻ると、まずは従業員クリスティーナ(バーバラ・レニー)に自分がビセンテだと信じてもらって、母親(スシ・サンチェス)にそのことを伝えようとするあたりで映画は終わってました。中盤くらいから、てっきりロベルが主人公の復讐譚かと思って観てたら、最終的にはビセンテがワンチャンスをモノにして自分の人生を取り戻す話に落ち着くという展開は意外でしたね~。


ラスト、ベラ=ビセンテが実家に戻って、母親とクリスティーナと再会するシーンは感動的でしたよ。
母親とクリスティーナ


映画を観ていると、ビセンテがノルマをレイプするくだりは、彼女を放置したのは絶対ダメだけど、一応、未遂で終わってるし、そもそも本人は合意のつもりだったし、ノルマは精神を病んでいる子なのに保護者が目を離した状態だったし、さらにビセンテもクスリでハイになってたしと、悪条件が重なってたので同情できなくもない状況ではありまして(ノルマを自殺には追い込みましたが、保護者=ロベルの責任も大きいと思う)。だからね、チンコを失って、膣まで形成されてしまう展開は、さすがに哀れんじゃいました (´・ω・`)


チンコをなくしても、ヨガをすることで、頑張って自我を保つビセンテ。大変でしたな… 。
ヨガをマスター


僕も若いころはテストステロンが過剰生産されてたため、調子が良い時は“肥えた力士の乳房のアップでも反応する”ほど感覚が研ぎ澄まされており、自身のチンコによって目を眩まされることが多々あったというか、“性”に走って道を誤りがちな青春時代があったりもして。高校生のころ、試験前日に徹夜で勉強するつもりだったのに、いつの間にやら自慰に及んでしまって、そのまま疲れて朝まで爆睡していた日には、「こんな自分を惑わす悪い器官は取ってしまえ!ヽ(TДT)ノ」「宦官になったら頑張って史記を編纂しよう… (ノω・、)」なんて嘆いたりしてね(そして、夜になったらすっかり忘れてるので、また繰り返される過ち…)。


ちなみに「シグルイ」の牛股師範は剣の道に邁進するため、若いころ、素手による去勢を決行してたりします(「シグルイ」第9巻より)。男らしすぎ!
素手による去勢


でも、よくよく考えてみれば、性同一性障害の方は別として、男として生まれたからにはチンコは大事なパートナー。大きかろうと、小さかろうと、右に曲がっていようと、皮をかむっていようと、臭かろうとも、オムツが取れて己で用を足せるようになった瞬間から、日々コミュニケーションを取ってきた“親友”といっても過言ではないんです。

そんなチンコLOVEな僕(誤解を招く表現)がこの映画のビセンテの心を思うと、とてもじゃないけどヨガをする程度じゃ耐えられない。つーか、僕だって自分の顔や体にコンプレックスはありますけど、勝手に女性に改造された挙げ句、トラのコスプレのオッサンに犯されたら、高確率で発狂すると思いますよ。完全に女性化させられないで、股間だけ膣にされるよりはマシなのかもしれませんが…(僕がそんなことされたら、元女性のポルノスターのバック・エンジェルの劣化版みたいなビジュアルになりそう ('A`) )。そう考えると、そんな無惨な仕打ちをしといて、自分を愛してくれるようになるなんて思いこんだロベルは相当脳天気というか。ベラだって、恨みを忘れないように壁に日付とかいろいろ書き残しているんだしさ、あまりにも迂闊すぎですわな。


こんだけ壁にビッシリ書いてあるんだから、恨みを忘れるワケないですよね。
壁にビッシリ


いや、僕はもっと洗脳的な処置をするのかと思ってたんですよ。そしたら、ストックホルム症候群頼みというか、ロベルったらその点はあまり深く考えてなくて。まぁ、マッド博士らしい“隙”とも言えますが…。奧さんに似ている顔を毎日眺めているうちにベラ=奧さん的な妄想が強くなってしまい、セカがベラを犯したのを目撃したことで浮気をされた時のトラウマがぶり返して、その混乱が強まってしまった…ってことなんでしょうカネー (・ε・) サテサテ


ロベルは、毎日、大画面でベラを監視することで、逆にその魅力に囚われてしまった様子。
大画面でトリコに

そして、亡き妻の浮気相手のセカがベラをレイプするのを目撃して、ベラ=奧さん的な想いが強くなった…って解釈は乱暴でしょうか。
セカに犯されました


で、映画を観た後にパンフレットを読んだら、コラムで「原作小説はちょっと違うんだぜ? ( ̄ー ̄) ニヤッ」的なことが書かれていたので、つい気になって読んじゃったんですが…。結構違ってたのでスゲー驚きました。いや、「娘をレイプした男を性転換させる」ってのは一緒なんですけど…。原作ついて適当に個条書きするとこんな感じ↓


※登場人物の名前が映画と原作小説では違っているので、書いておきますね(11/19)
外科医ロベル→リシャール
愛人ベラ→エヴ
拉致された青年ヴァンサン→ビセンテ
銀行強盗のセカ→アレックス

「外科医リシャールと愛人エヴ」「逃亡中の強盗アレックス」「何者かに囚われた男ビセンテ」の3つのエピソードが同時進行
リシャールエヴを他の男とセックスさせることで、復讐心を満たしている様子
警察に追われている強盗アレックスは、昔、関わりがあったリシャールに整形手術をしてもらうことを思いつく
ハードな監禁状態の中、ビセンテは、人間的な暮らしをさせられるようになると、監禁相手に傾倒していく
ビセンテはホルモン注射を打たれまくって体が女性化した挙げ句、監禁相手=リシャールにチンコを膣に換えられる
ビセンテは、昔、リシャールの娘を友人(アレックス)とハードに輪姦しており、そのせいで娘は発狂して精神病院送りになっていた
リシャールはその罪の償いをさせるため、ビセンテエヴに性転換させて、男と無理矢理セックスさせていた
だが、いつしかエヴに惹かれ始めていたリシャールは、彼女が変態男にムチで打たれているのを哀れんで、プレイを止めてしまう
アレックスリシャールを脅すため、エヴを“一緒にリシャールの娘を輪姦したビセンテ”だと知らずに誘拐する
リシャールは逆にアレックスを捕らえてエヴを救い、彼女が自分にとって大切な存在になっていることを自覚
リシャールエヴを解放しようとするも、監禁されているアレックスを見たエヴは「自分と友人をセックスさせることで発狂させる気だ!」と誤解
ちょっと揉めた挙げ句、アレックスリシャールに射殺されて死亡
リシャールが「キミの好きにしていいよ」的なムードで拳銃を渡すと、エヴは「死体を片付けますか」と彼を許すムードで終了



その他、「娘は自殺はしていない(でも回復の見込みはゼロ)」とか「外科医の妻は飛行機事故で死んでいるが、エヴを妻のように整形するワケではなく、人工の肌を移植したりもしていない」とか「エヴがモロにアヘン中毒にされている」とか「リシャールエヴを連れて、発狂した娘の見舞いに行ったりする」といった違いがありまして。セカのトラのコスプレとか、ロベルの妻とセカの不倫設定とか、マリリアとの血縁関係云々とか、ヨガ要素とか、クリスティーナのレズ設定とか、様々な大きさのディルドを順番に並べる愉快なシーンとか(ビセンテの気持ちになるとゲッソリするけど、思わず爆笑しちゃう名場面!)、監督が勝手に付け加えた要素なんですね。


原作には、トラのコスプレ要素は皆無でした。
セカとマリリア

ディルドを並べる画像が見つかったので、追加しておきますね(6/29)。このシーン、大好きです。
ディルド!


そもそも「鬼畜レイプ野郎を性転換させて男に抱かせる」という原作のキーとなる要素をなくして外科医のマッド振りを増幅させて、話の展開も着地も別物になってるのが面白いというか。ストーリー的には原作の方が飲み込みやすいんですけど、インパクトが残るのは明らかに映画の方で、小説を読んだことで、もう一度、映画を観たくなっちゃいましたよ。

ってことで、長々とよく分からない文章を書いてしまいましたが、かなりおかしな映画でした (´∀`) アントニオ・バンデラスの静かなマッド振りは最高だったし、エレナ・アナヤの演技&ヌードも素敵だったし、ロベルト・アラモの粗暴なトラっぷりも愉快だったし、役者さんたちは全員素晴らしかったです。残念ながら僕にはまったく理解できなかったんですけど、ジャン= ポール・ゴルチエ絡みのファッション要素や、ルイーズ・ブルジョアのアート要素などもスゴい様子なので、気になる人は観に行った方が良いですぞ(シネマライズでは今週金曜で上映終了ですが…)。




ペドロ・アルモドバル監督作って、あまり観てないんですけど、これが一番好き。



ティエリ・ ジョンケによる原作小説。以前は「蜘蛛の微笑」のタイトルで出版されていた様子。



一応、サントラも貼っておきますね。



ペドロ・アルモドバル監督が今作を撮るにあたって、影響を受けたという映画。ちょっと観てみたいカモ。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2012/06/27(水) 23:05:05|
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