三角絞めでもてなして

「三角絞めでつかまえて」(http://ameblo.jp/kamiyamaz/)の避難所的なブログです。

ビー・デビル(ネタバレ)

ビー・デビル※この記事は、2011年4月2日にアップしたものです。

ビーデビル

原題:BEDEVILLED
2010/韓国 上映時間115分
監督・脚本:チャン・チョルス
出演:ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン
(あらすじ)
ソウルで働く独身の女性ヘウォン(チ・ソンウォン)は、抱えているさまざまな問題を忘れるために人口たった9人の美しい弧島へ。そこで、純粋で人のいい幼なじみ、ボンナム(ソ・ヨンヒ)と再会する。しかし、ボクナムは夫や住民から奴隷のように扱われ、果てには男の相手をさせられていた。何とか島から抜け出そうとするボンナムだったが、ある日、悲劇が起き……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




92点


※今回の記事には、かなり不快な表現が書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。
※最近、どうも文章がダラダラと長くなってしまって…。すみません。


シアターN渋谷で観てきたんですけどね、スゲー非道い映画でしたよ… (ノДT)


ちなみにこんな感じの展示がありました。
シアターN展示


まず、ちょっと作品内容とは関係ないことを書きますね。実際に調べるのは面倒くさいので、あくまで僕の印象でしかないんですけど、最近、500円のパンフレットって内容がかなり充実してませんかね? 400円だと“関係者用プレスのまんま”って感じなんですけど、値段が100円上がった途端、グッと費用対効果が上がるというか(気のせい?)。

今回の「ビー・デビル」のパンフレットは、紙はペラペラだし、「プロダクション・ノート」とかはないんですけど、監督インタビューやコラムがしっかり入ってて、かなり読み応えがあるんですよ。映画秘宝の田野辺尚人さんや映画ライターの岡本敦史さんの記事も非常に素晴らしいんですけど、僕的に良かったのが真魚八重子さんのコラム。ハッキリ言って、ここに自分の感想としてサラッと転載しておきたいくらい良かったです。映画を観た人は必読ですぞ!

で、感想なんですが…。僕は「女性や子どもが非道い目に遭う映画」って得意じゃないんですけど、この映画はモロにそんな感じでして。オープニング、不良たちの女性への暴行シーンから始まるんですが、劇中ではずっとイヤ~なムードが流れていて、中盤からは怒りのあまり、席で悶絶しながら観てましたよ。

主人公のヘウォンは銀行員なんですけど、無慈悲に老婆からの借り入れを断ったりとか(「スペル」っぽい)、暴行事件の目撃証言にも「暗かったから…」と全然積極的じゃなかったり、老婆に便宜を図った後輩を罵ったりと、基本的に好感が持てない感じ。勘違いから後輩にビンタしたことで(恐ろしく浅はかな名シーン!)、上司に休暇を取らされまして。あまりにヒマだから、幼いころに過ごした“無島”に向かうワケです。


常にイライラしていて、いけ好かない感じのヒロイン・ヘウォン。
イヤな感じのヒロイン


無島には、ヒロインのことを親友だと思ってるボンナムとその娘、夫とその弟&母親、老婆3人組、もうろくした爺さんの合計9人が住んでいるんですが、まぁ、すでに不穏な空気が充満してまして。話が進むと、ボンナムはこの島では家畜並みの扱いであり、精神的にも肉体的にも虐げられていることが分かるんですが(常にイヤミを言われながら、日常的に暴行を受けたり、義理の弟にも抱かれていたりする)、不快で不快で仕方がなかったです。特に娘のヨニが夫から性的虐待を受けていることが明らかになったシーン(しかも娘はそれを「愛されている」と思ってる…)では、マジで吐き気がしました。

ヨニが性的虐待をされていると知ったボンナムは、ヘウォンに「ソウルに連れてって!」とすがるんですが、ヘウォンは「そんなウソをついて恥ずかしくないの!」とキレまして…(冒頭の借金を頼む老婆への対応と同じ感じ)。結局、ボンナムは夫が呼んだ時に知り合った“親切な風俗嬢”にお願いして、ヨニと脱出を図るんですが、渡し守の裏切り(というかグル)で失敗。ボンナムは暴行されるワケですが、それを止めようとしたヨニは夫に振り払われて、石に頭をぶつけて死んでしまうんですね…。


あまりに可哀想すぎる運命のヨニ。「お母さんが殴られる方がイヤだ!」というシーンでは涙…。
死んじゃう女の子


人が死んだらさすがに警察が来るということで、刑事っぽい人が1人だけ来るんですけど、当然ながらみんな口裏を合わせるという腹立たしさ。ヘウォンも聞かれるんですけど、「寝てたから見てません (`・ω・´) キッパリ」って返答をし、ボンナムは絶望的な表情を浮かべるワケです。僕はこの場面、「まぁ、実際に寝てたんだろうし、仕方ないけど、もうちょっとフォローしてやれよ」と思ったんですが…。

翌日、ブチきれたボンナムは鎌を持って大量殺戮を開始。もう僕的に気分は「やっちまえ!ヽ(`Д´)ノ」一色ですよ。姑が殺されるあたりとか、スゲー気持ちイイ! さすがに夫は手こずったけど、口で刃物を舐めて油断を誘い、指を噛みちぎってから、「刃物を口にくわえて刺し殺す!」という妙技で退治した時は (°∀°)b グッジョブ! と心から感心。最後、旦那を味噌漬けにするのも気が利いてました(場内では笑い声が)。結局、もうろくした爺さん以外の島の住人はみなごろしにされてましたね~(卑劣な渡し守含む)。


拘束された状態で刃物を舐めるボンナム。ドキドキするシーンですぞ。
刃物を舐めろ!


死体を味噌漬けにしたのは、夫が暴力を振るった後、「味噌でも塗っとけ」と言っていたのが由来。
味噌まみれ


ヘウォンはそんな惨状から何とか逃げて、本土の警察に保護されるんですが…。夢の中で「実はヨニが死んだ時、ヘウォンはその現場を目撃していた」ことが明らかになりまして。僕は「だから、彼女が証言した時にボンナムは絶望的な表情になったのか!」と心からビックリ&納得しましたよ。

劇中で何回か“過去の2人のシーン”が流れるんですが、ボンナムは幼いころにヘウォンに優しくされた思い出や「ソウルに連れて行ってあげる」という言葉を支えにして生きてきたんですね。娘の存在も大きかったと思いますが、笛を教えてもらった時、彼女からキスをされたことがうれしかったからこそ(ちょっと違うけど「車輪の下」を思い出したり)、“愛”というものを信じて日々の暮らしを耐えられたところもあると思うんです(まぁ、ヘウォンの方は小さいころから「島の悪ガキたちが襲ってきた時、身を挺してかばったボンナムがイタズラされるのを“見て見ぬフリ”してた→ポンナムに特に思い入れはなかった」んですが…)。だから、彼女は悪ガキたちに折られた笛も“2人を繋げたアイテム”として大事に取っておいたりしてたんですよ。

ところが、ここにきてその支えだったヘウォンに見て見ぬフリをされちゃったら、愛情が憎しみに変わるのも無理はないじゃないですか。というか、よく「傍観者も同罪」的な言葉があって、それはそれで言い過ぎな気もするけど、でも「傍観」も罪だと思うんですよ。邦題は「ビー・デビル」ということで、ポンナムは確かに“殺人鬼=悪魔”になってしまったのかもしれませんが、そこまで追い込んだ傍観者のヘウォンの方が“外道”に見えちゃうんですよね…。


「デビルマン」より。ポンナム的にはこんな気持ちだったと思います。
外道!


慣れない化粧(かなり不気味で、正気を失ってる感アリ)&ワンピース姿のボンナムはすっかり怪物化していて、別の渡し船で本土に上陸し、ハンマーを持って警察の施設を襲撃!(交番っぽい感じ?) ヨニが死んだ時に来た刑事っぽい人も殺して、ヘウォンを追い詰めるんですが…。


不謹慎ですが、この人が股間をハンマーで一撃されるシーンは、場内爆笑に包まれてました。
可哀想な刑事


結局、ボンナムはヘウォンを殺せないんです。ヘウォンに折れた笛で首を刺されて致命傷を負うんですが、死を悟って“険”がとれたボンナムはヘウォンに膝枕をしてもらうような形で寄りかかり、「笛を吹いて」とねだるんですね…。ヘウォンもさすがに“人として残念かつ非道だった自分”に気付いて、泣き崩れるワケです(これによってボンナムも多少は救われたと思う…)。


号泣必至のラストシーン!
笛を吹くラスト


すっかり反省したヘウォンは、「もう見て見ぬフリなんてしないわ!ヾ(。`Д´。)ノ」とばかりに、警察に行って暴行犯の目の前で「アイツです!」と証言(極端!)。服を着たままシャワーを浴びたあと(頭を冷やす的な意味?)、読まずに捨ててたボンナムからの手紙をゴミ箱から拾って読むと、どの手紙も「愛するヘウォン」「会いたい…」的な内容でしてね・°・(ノД`)・°・ 彼女が床に横になると、そのシルエットが無島と重なるラストカットは、本当にいろいろ考えさせられるというか。ううむ、「結局、傍観者の胸の中に残った」ということなんでしょうか…。エンドロールはスゲー予想できて、「来るなよ、来るなよ…」と思ってたんですけど、やっぱり“小さいころのヘウォンとボンナムの仲良し描写”が出てきて、死ぬほど号泣メーン!ヽ(`Д´)ノ もう二度と観たくないと思いました(「マーターズ」のラスト風だけど、こっちの方が恐ろしく泣ける)。

役者に関しては、とにかくソ・ヨンヒがスゴかったです。“無学だけど気の良い女性”って感じのボンナムを見事に演じてましたよ。この人、「チェイサー」の風俗嬢役でも凄まじく泣かされたんですけど、素晴らしい女優さんだと思います。チ・ソンウォンもイヤな奴感が漂っていて良かったし、他の島の住人たちもみんな“良い顔”をしていて最高でした。

脚本も書いたチャン・チョルス監督は、あの有名なキム・ギドク監督の助監督だったそうで。キャラクター設定に沿った様々な伏線をしっかり回収する脚本といい、そのキャラクター設定の“深み”といい(唯一の生き残りである耄碌爺さんや姑たちの過去への想像の余地すらある)、イヤな演出の数々といい、この映画がデビュー作だなんて信じられないクオリティだと思います。この人、今後も要チェックですな。

結局、この映画が一番言いたいのは「“見て見ぬフリ”はダメ絶対!ヽ(`Д´)ノ」ってことでして。その範囲を広げちゃうと「こうやって文明的な暮らしをしている僕らは途上国を搾取している現状を黙認していて…」的なことになって収拾がつかなくなるので「それはそれ」としておいて。とりあえず、街中や身の回りで法的にダメなことを目撃した時は、ちゃんと警察に電話しましょうね。約束だよ!(一方的に)

ということで、例によって長い&グダグダになってしまってすみません… (´・ω・`) 僕は、非常に教育的な素晴らしい映画だと思いましたけど、本当にキツかったので二度と観ないと思います。グロ描写は“首切断描写”くらいなんですが、精神的に厳しいシーンが非常に多いので、よっぽど興味がある人以外にはオススメできないかなぁ…。




面白いけど、警察&風俗描写にイラッとする映画。ソ・ヨンヒが可哀想な風俗嬢で出てきます。



このラース・フォン・トリアー監督作を思い出したのは僕だけじゃないハズ。おぞましい内容なので注意!



キム・ギドク監督の作品って、1本も観たことないんですよね…。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2011/04/10(日) 22:25:16|
  2. 記事(2011)
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