三角絞めでもてなして

「三角絞めでつかまえて」(http://ameblo.jp/kamiyamaz/)の避難所的なブログです。

籠の中の乙女(ネタバレ)

籠の中の乙女

籠の中の乙女

原題:KYNODONTAS/Dogtooth
2009/ギリシャ 上映時間96分
監督・脚本:ヨルゴス・ランティモス
脚本:エフティミス・フィリッポウ
製作:ヨルゴス・ツルヤニス
製作総指揮:イラクリス・マヴロイディス
製作補:アティナ・ツァンガリ
撮影:ティミオス・バカタキス
美術・衣装:エリ・パパゲオルガコプル
編集:ヨルゴス・マブロプサリディス
録音:レアンドロス・ドゥニス
進行:スタヴロス・クリソヤニス
出演:クリストス・ステルギオグル、ミシェル・ヴァレイ、アンゲリキ・パプーリァ、マリー・ツォニ、クリストス・パサリス、アナ・カレジドゥ
(あらすじ)
ギリシャのとある一家。息子(クリストス・パサリス)と2人の娘(アンゲリキ・パプーリァ、マリー・ツォニ)は、しゃれた邸宅に幽閉され、育てられてきた。ある日、父(クリストス・ステルギオグル)が成長した息子のためにクリスティーナ(アンナ・カレジドゥ)を家に入れる。しかし、子どもたちが外の人間に初めて触れたことをきっかけに、一家の歯車は少しずつ狂い始め……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の記事は、「ヴィレッジ」のネタバレにも触れているので、気をつけて!
※今回の記事は、映画と関係のないくだらない文章が長々と書かれていたりするので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いかもしれません。


昨年、尊敬する映画評論家の町山智浩さんが紹介されていたのを聴いて、ずっと興味を持ってまして(こちらこちらで聴けます)。日本公開が決まった後、前売り券を買って楽しみにしてたんです。で、先日、シアター・イメージフォーラムに行って来たんですが、なかなかおぞましいブラックコメディでしたよ…。


劇場にはこんな感じで記事の切り抜きが貼られてました。
記事の切り抜き


タイトルは「籠の中の乙女ってなってますけど、実際は「マッドな両親によって外界から遮断された環境&勝手なルールによって育てられた長男と姉妹の話」でして(まぁ、長女だけに焦点を絞ると、間違ってない気もしますが)。僕的には、「白いリボン」とか「ヴィレッジ」とかを連想するとともに、吉田戦車先生のギャグ4コマ漫画「甘えんじゃねぇよ!」に出てくる“みっちゃんのママ”を思い出しました。


“みっちゃんのママ”は、みっちゃんを騙すのが大好き。キクラゲを“ペンギンの肉”と即答したり…。
ペンギンの肉よ

「夏カゼの熱はカエルで冷やす」といったウソを平気でついたりして、あとでみっちゃんに逆襲されたりしてました。
 カエルで冷やすのが一番


大人には、大なり小なり、“子どもを騙したい願望”があると思うんですよ。「サンタクロースがいる」なんてのはその最たるモノで、一応は「子どもに夢を与える」ってタテマエではあるけど、本来はそんな設定をガチで信じ込ませる必要なんてないじゃないですか。意地悪なことを書くと、サンタを無邪気に信じてる子どもを見て、「おやおや、可愛らしいですな (`∀´) ケケッ」と“上から目線な親気分”を堪能したいだけというか。

だから、僕もわざわざ自分の娘に「サンタなぞ、いない!(`Δ´)」なんて偉そうに言う気はありませんけど、もし娘にプレゼントを置くのを見られたりして、サンタの実在云々を聞かれた時はハッキリ言いますよ。「実はオレこそがサンタなのだ!ヽ(`Д´)ノ」と。例えば、「あれは今から10年前の雪のクリスマス。邪教集団マクートに追われている瀕死状態のサンタクロースを路地裏で見つけたオレは、彼からサンタ聖衣と戦闘用トナカイ・ダッシャーを託された。それ以来、日々マクート怪人たちと戦いながら、良い子にはプレゼントを配ってーー」って、非常にどうでも良いウソですな ┐(´ー`)┌ ツマンネ まぁ、実際のところ、サンタについては島本和彦先生と同意見というか、「恋人がサンタクロース」気分というか、「今夜はわたしがあなたのサンタよ♪川o^-')b シンジテ!」って心づもりなんですがー(なんだこれ)。


まったく関係ありませんが、「私をスキーに連れてって」の動画を貼っておきますね。ホイチョイプロめ!ヽ(`Д´)ノ キィィィッ!




って、凄まじく脱線しちゃいましたな、すみません m(_ _ )m いや、僕が何を書きたかったのかって、サンタレベルの話なら全然良いんですけど、この映画の父親は「子どもたちを守るため! (`・ω・´) キリッ」という狂気に近い愛情から、「犬歯(Dogtooth)が生え替わるまで外に出られない」と悪質なウソで塗り固めた世界に子どもたちを何十年も閉じ込めて、すっかり守護者気取りでしてね。とにかく邪悪な自己満足にしか見えなくて不快なんです。なんだかんだ言って、いつまでも隷属させる優越感を楽しみたい側面もあるワケでさ。あのクソ両親は「自分たちが死んでしまって、子どもたちだけで世界と向き合う時のこと」とか、どう考えてたんですかね? もうね、あの父親はマジでブチのめしたくて仕方がなかったです…って反応は、ちくしょう、すっかりヨルゴス・ランティモス監督の思惑通りなんでしょうな (・ε・) チェッ


「猫に襲われた」という設定で顔に血ノリを塗る父親。様々な工夫を凝らして、子どもたちにウソを信じさせます。
父親

成人の犬歯が生え替わることなんてないんですが、子どもたちはチェックしてみたりするというね…。
犬歯をチェック


子どもたちはもう20歳は越えてるっぽいのに、発言や行動がかなり変でチャイルディッシュなので、ついつい笑っちゃって。ただ、画面からはリアルかつ無機質な雰囲気が伝わってくる上に、彼らが異常な教育によってここまで成長したことを考えちゃうと、何とも不穏な気持ちにもなるというか。なんて言うんだろう、父親が考案した子どもたちへのウソイベントの数々は結構面白かったりするし(例えば、家の上空を飛行機が通ると、「墜落した」という設定で、父親がオモチャの飛行機を庭に投げたりする)、子どもたちに“対猫用”として犬の吠え声を練習させるシーンとかも爆笑したんですけど、微妙にゲンナリした余韻が残るんですよね…。


飛行機が“墜落”すると、子どもたちは我先にとダッシュして取りに向かってました。
墜落した飛行機

猫が入ってきた時のために吠える特訓をする家族たち。笑っちゃうけど、ちょっと怖い。
吠える特訓!


ユニークなシーンがあったかと思いきや、突発的な暴力シーンがあったりするし、性器は出まくるし(ボカシは入るけど)、セックスシーンも即物的に描かれたりと、確かにR-18の内容ではあって。一番キツかったのが、長男の性処理用に外から連れて来たクリスティーナが解雇された後、“長男に姉妹を選ばせて、その結果、妹を抱かせるくだり”で、さすがにおぞましかったです。


長男に姉妹を選ばせるシーン。最悪ですな… ('A`)
ゲンナリなシーン

ちなみに父親がクリスティーナをビデオデッキで殴打する暴力描写は上手いと思いました(行為自体は酷いけど)。
ビデオデッキで殴打!


ただ、クライマックスの展開が良いんです。物語の後半、長女はクリスティーナを脅して映画のビデオをゲットするんですが、中身は「ロッキー」「ジョーズ」だったらしく、そのシーンの真似をする姿が非常に微笑ましくて。さらに両親の結婚記念日に姉妹がダンスをプレゼントする時、長女が狂ったように踊るシーンが超素晴らしい! 長男のギターが流れる中、「フラッシュダンス」のダンスシーンを長女なりのアレンジで踊るワケですが、自分でもわからない衝動に突き動かされていることがよく表現されてて、笑いながらもジーンとしちゃったりして…。


ポスターなどにも使われているこのシーンからスタート。
ここからスタート

長男が弾くギターの単調なメロディの中、2人で踊ってたんですが…。
2人で踊ってたけど...

いつの間にやらこんな感じに! 震える長女のハートが燃え尽きるほどヒート!ヽ(`Д´)ノ ナニコレ
最後はこんなことに!


一応、「フラッシュダンス」のラストシーンを貼っておきますね。懐かしい…。




以前、教えてもらったんですが、「ジュエルペット サンシャイン」でもパロディにされてました…って、関係ないですね。




最後、長女は自ら犬歯を叩き折って、父親の車のトランクに乗り込みまして。その夜は家族総出で長女を探すものの見つからず、翌朝、仕方なく父親は車で出勤。工場の前に停車して、父親が降りて、長女が入っているトランクが映されたところで映画は終わるワケですが…。たぶん、トランク内の彼女の心では、今までに教わってきた“恐怖”と、映画という“禁断の実”を食べることで新たに備わった“勇気”がせめぎ合ってて。「良い終わり方だなぁ (´∀`)」とグッときましたよ。ちなみに僕は「ロッキー」を初めとする燃える映画が胸にあるのだから、最終的には後者が勝つと思っております。


犬歯を叩き折って旅立ちを決意した長女。この衝動は誰にも止められないんですYO!ヽ(`Д´)ノ
犬歯を叩き折った長女


この映画は極端な家庭を舞台にしてますけど、描いていることは会社とか国にも当てはまるというか。「教育や情報って大事だよなぁ」なんてことをあらためてボンヤリと実感しましたよ。正直、わかりづらくて奇妙な作品ではありますが(僕もよくわかってないような…)、長女の最後のダンスシーンには胸が熱くなるので、予告編を観て気になっている人は劇場へどうぞ~。




子どもの教育繋がり&雰囲気でなんとなく思い出したミヒャエル・ハネケ監督作。僕の感想はこんな感じ



「親がウソの世界に閉じ込めてました」繋がりでなんとなく思い出したM・ナイト・シャマラン監督作。



吉田戦車先生による4コマギャグマンガ。大好きです。

テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画

  1. 2012/09/10(月) 13:05:45|
  2. 記事(2012)
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